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入試問題の表現
2024年度のK大の入試問題で,
$\cdots$ 点 $\rm{D}$ から直線 $\rm{AB}$ に下ろし た垂線を $\rm{DE}$ とする.
といった表現が見られる.この文章をそのまま受け取ると,$\rm{OH}\perp\rm{AB}$であることは確実に読み取れるが,点 $\rm{H}$ が直線 $\rm{AB}$ 上の点かどうかは明確でない.
もちろん,最低限の経験があれば“常識的に”「点 $\rm{H}$ が垂線の足ということだな」というのはわかるのだが,揚げ足を取ろうと思えば取れる表現ではあると思う.
$\cdots$ 点 $\rm{D}$ から直線 $\rm{AB}$ に下ろし た垂線を $\ell$ とする.
のように,ただの垂線の名前であって,直線の点 $\rm{D}$ 以外の通る点が明確にされていなくても同じ構文を書くことは可能だ.
教科書の表現
一方,多くの数学IIの教科書では,「垂線」が初めて登場する際,図とともに,次のような文章が書いてある:
「点 $\rm{O}$ から直線 $\rm{AB}$ に下ろした垂線 $\rm{OH}$ 」
このような表現で,図のほうでは
- $ \rm{OH} \perp \rm{AB} $
- 点 $ \rm{H} $ が直線 $\rm{AB}$ 上にあること
つまり,「点 $\rm{O}$ から直線に下ろした垂線の足が $\rm{H}$ であること」を表しているのだ.
つまり…
K大の表現は,検定教科書には準拠している.その一方で,少し不親切な書き方であることも確かだ.
ただ,問題作成者の気持ちに立つこともできる.何かしら問題が発生した場合,教科書とは異なる丁寧な書き方をするより,教科書と同じ書き方をしておいたほうが,「教科書と同じだ」と明確な理由になる.
ちなみに,「不親切だからこう書くべきだ」「K大の問題は不備だ」などと主張するつもりは毛頭ない.個人的にはこの問題に関して,表面的な部分より,教科書がなぜこのような表現方法をとっているのか,やはり定義する気はないようだ,ということのほうに関心を持っている.
参考:
『そもそも定義とは』
『“定義”する気はない?』