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教科書には定義がない!?
実は,教科書には「定義」がない $^※$ .厳密に言うと定義という文字は見られるのだが,「◯◯の定義から考えると…」といった文脈のみで登場する.初出の用語の意味を設定する場面では,「性質」や「△△のことを◯◯という」などとふわっとした言い回しのみで,「◯◯の定義」とタイトルがついていたり「〜と定義する」などといった使われ方はされていない.
※ あくまで私が観測した限り,なので,もし発見された方は教えてください!
もちろん教科書の編纂には数学者も関わっているため,定義という言葉を使いたくなる場面もあるに違いない.その上で(もちろん私の勝手な推測だが),敢えてその言葉を使っていないのだと思う.
中学・高校の数学の教科書は,教育的側面と,現代数学への導入的側面に板挟みにされている. 「極限の定義」などと銘打って「…近づく先を極限という」などと書いてしまえば,「ε-δが本当の定義だろう!」という意見に晒され,定義だからといってε-δで説明なぞしようものなら(一部の上位層には良いかもしれないが)多くの高校生が頓挫してしまい,あるいは時間がかかりすぎてしまい,卒業までの限られた時間で積分法まで辿り着けなくなってしまうだろう.
※ 各出版社の編集する教科書は文科省の検定を通っているが,一方で,文科省から定義の内容について指定があるわけではない.
※ そもそも厳密な意味でも定義が複数ある用語については, 定義が複数ある用語 を参照されたい.
※ 実は教科書には,「定理」や「公理」の文字もない.